公益社団法人 信和会 京都民医連第二中央病院

特集2 「生活リハビリ」で自分らしい暮らしを支える 地域包括ケア病棟での取り組みをさらに広げる

地域包括ケア病棟のリハビリの中核を担うのが「生活リハビリ」です。病気やけがからの回復にとって、リハビリは欠かせない存在ですが、私たちが取り組む「生活リハビリ」は、病院の中だけで完結するものではありません。退院後の生活を見据え、「その人らしい生活」を再び取り戻すためのリハビリです。当院ではこれから、一般病棟でも「生活リハビリ」を実施していき退院支援をより強化していきたいと考えています。

生活リハビリって何?

「生活リハビリ」とは、リハビリ室の中での運動や訓練に限らず、日常生活そのものをリハビリの場として活用する考え方です。
たとえばどんな動作でしょう?

  • 食事を自分で食べる
  • トイレに行く
  • 洋服を選んで着替える
  • 洗濯物をたたむ
  • 廊下を散歩する

いつも私たちが行っている何気ない動作のひとつひとつが、実は立派な「生活リハビリ」です。病気や入院生活で一時的に介助が必要になった状態を、日常生活の中で自然に回復させていきます。これは最初少し介助がいる状態でも一緒に行っていくことが大切です。

「生活に戻る」ことを見据えて

病気の治療が終わっても、すぐに家で元通りの生活を送ることは簡単ではありません。特に高齢の方は、入院によって体力や認知機能が低下しがちです。また病院では転倒の危険があるから、と活動範囲が狭くなってしまうこともあります。
地域包括ケア病棟では、医師、看護師、介護士、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、栄養士、薬剤師、そして医療ソーシャルワーカーなどの多職種が連携して、「退院後の暮らし」を見据えた支援を行います。患者さんの「生活の再構築」をサポートするため、患者さんと一緒に、どんな生活を望んでいるのか、今までの生活はどうだったのか、またどの動作を行わないと家に帰れないのかを確認し、必要な動作の練習や、福祉用具の提案、家屋改修の相談なども行います。そして、その目標を患者さんに関わるすべてのスタッフが知ることが大切です。

病室が「暮らしの場」になる

生活リハビリを効果的に行うために、私たちは病室や病棟全体を「暮らしの場」として活用しています。

  • 起床・着替え・洗面といった朝の支度を、できるだけご自分の力でやっていただく
  • 食事はできるだけ食堂で、他の人と一緒に楽しく
  • 買い物や調理の練習として、院内売店や調理訓練スペースを利用
  • 段差のある廊下や階段の昇降練習

「安全だからベッドで安静に」ではなく、「できることは自分でやってみる」「少しずつ日常に近づける」ことが、回復につながります。

地域とつながるリハビリへ

退院後も、必要に応じて訪問リハビリや通所リハビリなど、地域での支援を受けることができます。生活リハビリの経験は、その後の地域での生活をスムーズにするための「リハビリ期間」として、大きな意味があります。また退院後は信和会に5か所ある通所リハビリ、デイサービスや訪問リハビリなどもご活用いただけると家でもリハビリを続けることができます。
ご家族や地域の皆さまにも患者さんの生活に参加していただけるよう、面会時の動作指導や介助方法の相談なども行っています。ぜひお気軽にご相談ください。

最後に

生活リハビリは、「できることを取り戻す」だけでなく、「その人らしい生き方を支える」ためのものです。多くの患者さんのその人らしい生き方を支えられるように、一緒に歩んでいきたい。生活の中でリハビリをしている、という考え方を皆さんと共有し、いきいきとした生活を支えていきたいと思っています。