公益社団法人 信和会 京都民医連第二中央病院

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)
もしものときに、自分が望む医療を

状態が悪くなり、十分に考えたり、自分の希望を伝えられなくなった時のことを考えていますか?

命の危機が迫った状態において、約7割の方は自分の思いを伝えることができないという現実があります。その結果、本当は希望していなかった医療やケアを受けることになったり、また残された家族においては、どうしてあげればいいのかわからず困惑するといったような事態が起こっています。最期まで自分の思いに沿った医療やケアが受けられるようにするためにはどのようにすればよいのでしょうか? たとえ状態が悪くなったり、最期の時が近づき、自分で考えて、希望を述べることができなくなっても、自分の思いに沿った医療やケアが受けられるようにするために、健康なうちから、悪くなったときのことを大切な人とともに考えて、希望を伝えておこうという取り組み(ACP アドバンス・ケア・プランニング)が医療介護の現場で徐々に広がってきています。今回は具体的にどのような手順でACPを行っていけば良いのかをお話しいたします。

ステップ1
考えてみましょう

もし残された時間が限られているとしたら何を大切にしたいですか?またそれは何故ですか?(対象は当院の患者さんです)

ステップ2
信頼できる人は誰かを考えてみましょう

いざという時にあなたの代わりになって治療やケアについて話し合って欲しい人は誰ですか?

ステップ3
主治医に質問してみましょう

現在病気療養中の方は、主治医に現在の病状や今後の予想される経過、必要な治療やケアについて聞いてみてください。

ステップ4
話し合いましょう

治癒が不可能な病気になり、その後、状態が悪化し、十分に考えたり、自分の希望を伝えられなくなった場合に、どのような治療やケアを受けたいか、受けたくないかを信頼できる家族や友人とともに考えてみましょう。あなたの考えは、以下のどれに近いですか?

ステップ5
伝えましょう

話し合いの内容を、信頼できる家族、友人や普段お世話になっている医療介護従事者に伝えておきましょう。

ステップ6
繰り返し話し合いましょう

一度、考えて、信頼できる人に伝えれば終わりではありません。考えや気持ちは変わることもありますので、繰り返しこのステップに則って話し合いましょう。

本日の話は、神戸大学 緩和支持治療科の木澤義之先生が編集された「これからの治療・ケアに関する話し合い │ アドバンス・ケア・プランニング │」に詳しく書かれていますのでご参照ください。自分の希望を大切な人にしっかりと伝えておくことにより、皆様が最期まで自分らしく過ごせることを祈っています。

京都民医連あすかい病院 往診センター長 医師 上林 孝豊