シリーズ民医連運動「学術運動交流集会」
京都民医連では、2年に一度『学術運動交流集会』を開催しています。府下にある全ての民医連事業所が法人を超えて参加し、様々な講演企画や、医療・介護の実践、社会保障運動、平和活動報告などの演題発表を通して学びを深めています。
例年は一つの会場に沢山の職員が集りますが、今回は感染防止のため、オンラインでの開催となりました。2月から3月にかけてWEB上で開催され、当院からも様々な職種が演題発表を行いました。
企画の中でも、特に印象的だった講演の一部を報告します。それは、神戸大学大学院・井口克郎準教授による『介護保険発足20年、コロナ禍での介護崩壊を許さない』と題した講演です。
講演では、「介護保険は20年前の発足時には『介護の社会化』を謳い、利用者が各事業所を選んで契約を結び、利用料を支払う事で「消費者としての権利性が高まる」とアピールされてきた。しかし、財源となる社会保障費が抑制され続けてきた結果、サービスの適用範囲の縮小や一部サービスのボランティア等への置き換え、自己負担増が繰り返されてきている。また、介護事業所の絶対的不足によって、公的な保険にも関わらず地域格差が深刻となり、支援を必要とする人々にサービスが行き届かない現状がある」とのことでした。
実際、病院でソーシャルワーカーとして働く中で、事業所不足や費用負担の問題により、必要な介護支援体制を整えることができない事例が日常的に発生しているのが実情です。
団塊の世代が75歳を迎える2025年を目前にして、公助としての介護保険は「命の砦」としてますます重要性を増してきます。介護や医療は「自己責任」という視点では捉えられません。今回の講演での学びを、命を守る「社会保障」である介護保険制度の充実に向けた署名活動や行政との懇談活動などにつなげていきたいと思います。
- 京都民医連あすかい病院
医療ソーシャルワーカー
神嵜 郁