公益社団法人 信和会 京都民医連第二中央病院

特集1 女性向け外来

あすかい病院の外来では、内科、精神科、整形外科など、様々な診療を行っています。今回はその中から、女性向けの外来を2つ紹介します。それぞれの担当の医師にお話を聞きました。

●婦人科 藁谷 深洋子

どのような疾患・症状の方が受診されますか?

健康診断で受診される方の他、定期通院では子宮や卵巣の良性腫瘍の方、月経不順や月経困難症の方など、いろいろな疾患の方が受診されます。患者さんの年齢層も、高齢の方から学生さんまで幅広く、症状も様々です。

どのような診察、検査をされますか?

問診、内診、超音波(エコー)検査、感染症の検査、がん検診などを行います。状況によっては、血液検査、MRI、CTなどの検査を行うこともあります。
検査で悪性腫瘍などを疑った場合や、手術が必要と判断した場合には、大学病院などへ紹介し、手術後はまた当院の外来でフォローさせていただきます。

診察時に気をつけていることはありますか?

診察時には必ず看護師さんが同席し、患者さんと1対1にはならないようにしています。とくに初めて婦人科を受診する方は、不安を抱えている方も多くいらっしゃいますので、その不安を少しでも減らせるようにと心がけています。
身体的・心理的な問題で内診台に乗ることができない場合には、無理に内診は行いません。内診台に乗れないということはよくあることですので、不安な方は遠慮せずにおっしゃってください。

先生の専門分野は何ですか?

私の専門は実は周産期です。大学病院では産科に所属していますが、お産を担当したお母さんが、産後当院の婦人科に通院され、ここで妊娠が分かってまた大学病院へ紹介する、ということもありました。

婦人科外来の強みを教えてください

先ほどの産科のお話しに限らず、あすかい病院では検査設備が整っているので、がんや子宮内膜症などの診断をして大学病院などへ紹介し、術後またここの外来で診ることが出来ます。検査・診断→紹介→逆紹介が非常にスムーズに行えるのは、あすかい病院外来の強みです。

先生のご趣味は何ですか?

プロ野球観戦ですね。阪神ファンですので、今年はとても気分が良いです(笑)

●乳腺外科 名嘉山 一郎

どのような患者さんが受診されますか?

健康診断で要精密検査と言われた方や、乳房に何かしら気になることがある方が来られます。ほとんどの方が乳がんの心配をされ、大きな不安を抱えて受診されます。その不安を受け止めて、がんであってもそうでなくても、少しでも安心できる答えをお返しできるようにと思って診察にあたっています。

乳がんについて教えてください

日本人女性がかかるがんの中で一番多いんです。若い女性に多いというイメージをお持ちの方も多いと思いますが、かかる人の平均年齢は61歳、ピークは40代後半と60代後半~70代前半なんです。年間10万人近くがかかっているので、9人に1人の方がかかる計算になります。10年生存率は80%程度と他のがんと比べても高く、早期になると90%以上です。つまり、「がん」と言っても治る病気、とくに早期発見が大切です。ですから、早期発見のために年に一度は乳房のチェックを受けましょう。

乳腺外来ではどんな検査を行いますか?

乳腺エコーやマンモグラフィが中心ですが、その結果によってはMRIやCTの検査、病理組織の検査を行うこともあります。乳がんの1割は遺伝性とも言われています。家族歴も重要な情報となりますので、血のつながった方でがんにかかった方があればおっしゃってください。

乳がんと診断された場合、当院で治療はできますか?

できるだけ通いなれたあすかい病院で治療できるように努めています。残念ながら、手術や抗がん剤治療の間だけは京都民医連中央病院などへ紹介し、治療後は再びあすかい病院でフォローさせていただきます。

先生のモットーを教えてください

乳腺外来では、患者さんの不安に寄り添う力が求められているといつも思います。もしもがんだったらどうしよう…手術?抗がん剤?仕事はどうしよう?生活はどうなる?… 乳腺外来を受診される方は大変な不安を抱えて診察室に来られます。がんではないと分かって、ほっとした表情で帰ってもらえるのがいちばん嬉しいですが、もしもがんだった場合でも、患者さんの気持ちを伺いながら治療の道筋を立て、診察室を出るときには一つでも希望を持ってもらえるようにと心がけています。
「乳がん」と診断された方は、みなさん、一人暗いトンネルに迷い込んだような心細い気持ちとたたかっておられます。患者さんの生活に寄り添い、トンネルの中の灯りになれるような、そんな診療を目指しています。