京都民医連第二中央病院広報誌 2012年4月発行 vol. 17

入院から施設、在宅へ

172床になった第二中央病院のこれから

2011年11月より、京都民医連第二中央病院の病床数が減りました。どのような病院になったのか、知子さんが門院長に聞いてみました。

なぜ242床を172床へベッド数を減らしたのですか?

将来の病院改築に備えるためです。今の病院は老朽化しており、近い将来建てかえが必要です。その場合、今よりもゆったりとしたスペースが必要であり、病床数を減らさなければなりません。先行して70床を転換型老人保健施設「茶山のさと」へ移し、172床にしたのです。

どんなベッドを減らしたのですか?

療養病棟(長期入院できる病棟)50床と一般病棟(短期間で治療する病棟)20床です。これまで療養病棟におられた方は、基本的には「茶山のさと」に移っていただきました。一般病棟におられた方でも、入院が長くなり病状が比較的安定している場合は、移られた方もあります。

療養病棟がなくなったのだから、これからは長期間の入院はできないのですか?

基本はその通りです。いろいろな理由で家へ帰れない方や入院が長引く方は、「茶山のさと」や他の施設、療養病棟にお願いしています。もちろん病状が安定せず長期になる場合などは、入院を継続していただく場合もあります。

今の172床はどんな病棟ですか?

一般病棟121床と回復期リハビリテーション病棟51床です。回復期リハ病棟は例えば脳卒中や骨折であれば病気が生じてから2ヶ月以内の人でないと入院できません。回復途中の人に積極的なリハビリを行う病棟です。

もともと一般病棟は141床あったのが121床になったのですから、入院が難しくなったのではないですか?

本院は救急指定病院であり、かかりつけの方は可能な限り受け入れています。ただこれまでもそうだったのですが、ベッドが空いていない場合は他の病院へ入院をお願いしています。病気が完治していなくても改善してきた段階で外来や往診で継続して治療をお願いする場合や、病気は治ったけれど障害が残り家でみることが難しい場合などいろいろな問題があります。創意工夫しながらやりくりをしています。

他の病院との関係はどうですか?

左京区周辺は、病院に限らず地域連携が非常に進んでいます。本院では今、外科手術をしていませんが、必要な場合は近隣の病院に紹介しています。高度な医療を大学病院にお願いする場合もあります。在宅では、あすかい診療所をはじめ24時間対応できる診療所がたくさんあり、介護事業所も熱心です。地域全体で、医療・介護体制がとられるように、みんなで頑張っています。

「在宅療養あんしん病院」「在宅療養支援病院」という言葉を聞いたことがあるのですが?

「在宅療養あんしん病院」というのは、普段訪問診療(定期往診)で診てもらっている方や体の弱ってきた方に登録していただいて、体調不良時に早期に短期間での入院治療を行い、在宅療養が維持できるようにする京都府の仕組みです。本院も「あんしん病院」として登録しています。
  また「在宅療養支援病院」というのは、24時間往診が可能な病院のことで、200床未満病院であることが条件です。病床数を減らしたのを機に届け出を行いました。あすかい診療所から訪問診療を受けている患者さんに対していつでも必要な医療が受けられるようにしています。

これからの医療はどうなるのでしょうか?

下の図を見てください。これからさらに高齢化が進みますが、国は入院ベッドをむしろ今より減らす計画を持っています。入院期間も短縮する計画です。そのかわり、特養、老健などの施設や居宅・在宅を重視しています。これがうまくいくカギは、施設や居宅・在宅でも必要な医療が受けられる、お金の心配をせずに医療や介護が受けられるようにすることです。そのためには、抜本的に医療・介護従事者を増やさなければなりません。また、今計画されている以上に介護施設を増やすことも必要です。こうしたことなしに入院ベッドだけ減らしたら、必要な医療ができない大変な事態が起こります。ご一緒に安心できる医療・介護体制実現のための運動を進めましょう。

地域連携

図

「施設」から「地域」へ「医療」から「介護」へ

図2