京都民医連第二中央病院広報誌 2014年12月発行 vol.22

おいでませ泌尿外科

みなさん、泌尿器科をご存知ですか?

【泌尿器科】
①主に尿路系、男性生殖器系について診療研究を行う医学の一分野。
②気になるけれども行きにくいところ。恥ずかしさのあまり、我慢ができなくなって初めて行けるところ。
③トイレ。

 辞書で調べると、このような解説がされているのではないかと思われるくらいに、かくも泌尿器科は敬遠されがちなのです。 とある漫才コンビがネタの中で「俺、医者になるわ」「○○泌尿器科」「カッコ悪いわ!」などと使用し、お客さんもとても楽しそうに笑っていた、それが泌尿器科なのです。 そもそも名前が悪い。トイレですら「お手洗い」と称され、主には絵で表される世の中なのに、看板のど真ん中に「尿」の文字…。 漢字もよく間違えられます。「泌」の代わりに「秘」。「秘尿器」って余計に何だか怪しいと思いませんか?

侮れない泌尿器の病気

 されども尿が生き物にとって極めて大事なものであることは広く知られています。水分と老廃物を体外に出し、体のバランスを保つ、それが尿の働きです。 尿を作る工場が腎臓、そして腎臓から尿を体の外に運搬するのが尿管、膀胱、尿道といった臓器です。それらと男性生殖器が泌尿器科の領域ということになります。 特に前立腺は肥大症による尿の症状が現れる患者さんがとても多く、また近年癌の発生率が上がっていることからも注目されています。 女性においても、トイレが近い、行きたくなると我慢できなくなる、時々漏れるなどの症状を呈する過活動膀胱の患者さんが増えており、テレビでも頻繁に取り上げられています。 そして古来より特に男性にとって最大の痛みと言われる尿路結石、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症、他人には言いにくい性感染症、勃起不全など泌尿器科の疾患は実に多岐に渡っています。 さらに見逃せないことに、先ほど挙げた前立腺のみならず、腎臓や膀胱、精巣などの悪性腫瘍もあり、決して侮れない診療科なのです。

悩んでいる人は珍しくない!

 つまり一番大事なことは、「泌尿器科に関わる症状を持って悩んでいる人は珍しくない」ということなのです。 みなさんの御親戚や御友人、あるいはバスや電車で偶々隣に座った方も、似たような悩みを持っておられるかもしれないのです。 そしてこれはどんな病気でも同じですが、「早く見つけた方がきちんと治したり対応したりできる」ということも事実です。 “ありふれた”病気と思われている膀胱炎も放置すれば高熱を伴う腎盂腎炎となり入院しないといけないこともあります。 小さな結石、小さな腫瘍のうちに治療を始めておけば、後々の対応が楽になります。そこで我々は「敷居の低い」泌尿器科を目指しています。

気軽に行ける泌尿器科

現在当院の泌尿器科は週3・5回の外来(土曜日は隔週)を行っています。基本的な検査のみならず、最新の膀胱鏡検査も可能ですし、レントゲンやCTもほぼ即日に行えます。 残念ながら非常勤体制のため手術は行っていませんが、京都大学附属病院を始め、市内の複数の病院と連携を密にしているので、手術が必要な場合は速やかに紹介先を探すことが出来ます。 術後は再び当院に通院していただくことも可能です。また外来看護師たちも、現場に立ち続けている最も脂の乗った時期のメンバーが揃っています。 英語、アラビア語に対応可能なスタッフもおります。
 病院が多いように思われる京都市内でも泌尿器科は多くなく、左京区も例外ではありません。 その中で当院の泌尿器科がみなさんの気軽な相談窓口になれればと思い、日々診療を行っています。 普通ならヒトには言えない下腹部の話。でも泌尿器科にとっては日常茶飯事です。我々はどんな悩みや症状でもちゃんと受け止め、調べ、治療法を考えます。 だからどうか恥ずかしがらずに!我々ののれんをくぐってください。

(著者 右から2人目)