京都民医連第二中央病院広報誌 2013年4月発行 vol.19
医師としての歩み
1982年に卒業して医師になり31年が経過しました。京都民医連にお世話になってから22年になります。そして京都民医連第二中央病院に赴任して5年がたちました。
卒業して最初の9年間は神経内科を専攻していました。神経内科は一般には馴染みの少ない科です。脳卒中、パーキンソン病、認知症などの病気やALS(筋萎縮性側索硬化症)などといった神経難病の診療に当たる他、日常的には頭痛、めまい、しびれなどの診断と治療を行っています。
リハビリテーション
京都での22年間は神経内科医としてだけではなく、リハビリテーションを新たに体験することになりました。神経内科には脳卒中の方が多いので、リハビリテーションの必要なひとが多い。リハビリテーションの知識は神経内科医には当然必要です。介護保険が2000年に開始されて以後、リハビリテーションということばは一般の人々にも馴染みのある言葉となりましたが、22年前は医師の間でもその内容に詳しい者はあまりいませんでした。そんな状況の中、門先生が右京病院でリハビリテーション病棟を開設したのはまさに慧眼でした。私は京都民医連に来て京都民医連中央病院と、今は中央病院に吸収合併された右京病院に17年間勤める中で、リハビリテーション医学を学ぶことになりました。それはともすれば診断学に偏っていた神経内科学という分野に、一つの大きな治療手段をもたらすもので、私にとって目から鱗が落ちた驚きでした。
もちろんリハビリテーション医学は神経内科だけに関係するものではありません。あらゆる医療に関連したひとつの体系をなす医療分野で、看護・介護とともに医療には不可欠な領域です。当院でも回復期リハビリテーション病棟をはじめ、一般病棟、外来各科、在宅医療、介護の分野すべてでリハビリテーションは欠かすことができません。2011年には京都府で初めて病院機能評価「リハビリテーション機能」の認定を受けました。
今後の課題
リハビリテーションとともに、今後当院において取り組むべき課題があります。厚労省の推進事業の対象団体として全日本民医連が参加している診療の質測定です。 中小病院である当院も、その行っている診療の質の指標(QI)を可視化し、公開することにより職員の向上心を鼓舞し、行動変容をもたらすことでQIの改善が期待されます。限られた範囲ではありますが、 この地域になくてはならない医療を提供するためにもQIによる医療の質改善が重要と考えています。
以上、私がこれまで関係してきた医療内容を中心にお話しました。もちろん当院の医療は呼吸器、消化器、循環器、リウマチ膠原病、腎臓・透析など一般内科医療、精神科医療、高齢者医療、在宅医療、家庭医療などから成り立っています。これからも、この地域に必要な質の良い医療を行っていきたいと思います。よろしくお願い致します。