京都民医連第二中央病院広報誌 2005年11月発行 vol. 4
インフルエンザワクチン Q&A
もうすぐインフルエンザ流行の季節を迎えますが、インフルエンザによる健康被害を最小限にとどめるため、インフルエンザワクチンの接種が行われます。今回はインフルエンザワクチンに関する主な疑問点をQ&A形式で述べてみたいと思います。接種の参考にされてはいかがでしょうか。
- インフルエンザワクチンの接種は効果がありますか?
- インフルエンザワクチンの接種を行うことで、インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防し、健康被害を最小限にとどめることが期待できます。このワクチンの効果は、年齢、本人の体調、そのシーズンのインフルエンザの流行株とワクチンに含まれている株の合致状況によっても変わります。ワクチンの接種を受けないでインフルエンザにかかった65歳以上の健常な高齢者について、もし接種していたら約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったと報告されています。特に65歳以上の方や基礎疾患がある方(気管支喘息等の呼吸器疾患、慢性心不全、先天性心疾患等の循環器疾患、糖尿病、腎不全、免疫不全症(免疫抑制剤による免疫低下も含む)など)では、インフルエンザが重症化しやすいので、かかりつけの医師とよく相談のうえ、接種を受けられることをお勧めします。
- インフルエンザワクチンはいつごろ接種するのが効果的でしょうか?
- インフルエンザに対するワクチンは、個人差はありますが、その効果が現れるまでに通常約2週間程度かかり、約5ヶ月間その効果が持続するとされています。また、過去に同じ型のインフルエンザにかかっているか、ワクチン接種歴が有るか無いかにより、ワクチンの効果が現れるまでに差があると考えられています。多少地域差はありますが、日本でのインフルエンザの流行は12月下旬から3月上旬が中心になりますので、12月上旬までには接種をすまされることをお勧めします。
- インフルエンザのワクチン接種は何回受ければいいのでしょうか?
- 13歳以上では“1回又はおよそ1~4週間の間隔をおいて2回接種”とされていますが、65歳以上の高齢者に対しては1回の接種でも効果があり、2回接種による免疫の強化に関する効果についての評価は定まっていませんので、現在は1回接種が推奨されています。これは、厚生科学研究費による研究「インフルエンザワクチンの効果に関する研究」において、高齢者(65歳以上)に対するインフルエンザワクチン1回接種法による有効性の評価を行った結果、接種を行った後の抗体価の上昇は良好であり、重症化は十分に阻止する事が可能であったという報告に基づいています。
13歳以上64歳以下の方でも、近年確実にインフルエンザに罹患していたり、昨年インフルエンザの予防接種を受けている方は、1回接種でも追加免疫による十分な効果が得られると考えられます。2回接種をしたほうがより抗体価は上昇するという報告もあり、接種回数が1回か2回かの最終的判断は、被接種者の意志と接種する医師の判断によりますので、接種の際には最近インフルエンザにかかったことがあるかどうか、最近ワクチン接種を受けたことがあるかどうかとその時期、そして現在の体調などを担当医師に十分伝え、よく相談して下さい。 - インフルエンザワクチン接種による副反応にはどのようなものがありますか?
- 一般的に副反応は軽く、10~20%でワクチンを接種した場所の発赤、腫れ、痛みなどをおこすことがありますが、2~3日で消失します。全身性の反応としては、5~10%で発熱、頭痛、さむけ、体のだるさなどがみられますが、やはり2~3日で消失します。ワクチンに対するアレルギー反応として湿疹、じんましん、発赤とかゆみなどが数日見られることもまれにあります。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンですので、ウイルス自体は化学的に処理され病原性はありませんから、その接種によってインフルエンザになることはありません。
極めてまれですが、死亡の届け出もあります。日本では、昭和51年から平成6年までの、主に小児に対して接種が行われていた頃の統計では、インフルエンザワクチン接種により引き起こされたことが完全には否定できないとして、救済対象と認定された死亡事故は約2500万接種あたり1件でした。
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- 回答は
- 京都民医連第二中央病院内科
- 下之内康雄 医師
- でした。