京都民医連第二中央病院広報誌 2013年11月発行 vol.20

シリーズ おすすめの一冊:四畳半神話大系:著者 森見登美彦:出版社 角川書店:内科リハビリ科 後藤広亮

不思議な小説を偶然見つけました。

この小説は2010年にアニメ化されているのでご存知の方もいるかもしれません。この小説は4話の短編から成っています。

作者の森見登美彦さんは京大農学部出身とのことですが、この小説の主人公「わたし」もおそらく京大の3年生で、下鴨にある「下鴨幽水荘」に下宿をしています。

第一話ではこの「わたし」は嘆いています。一言でいえば大学2年間を無為に過ごしてきてしまったことへの悔恨です。「わたし」はその責任はある友人のせいだと考えています。

その友人の「小津」君は「わたし」と同学年で、「なんだか月の裏側から来た人のような顔色をしていて甚だ不気味」で「夜道で出会えば、十人中八人が妖怪と間違う」ほどで、性格も悪く、「他人の不幸をおかずにして飯が3杯食える」そうです。

「わたし」と「小津」は1年の頃からある映画サークルで一緒なのですが、そもそもそれが間違いだったと考えています。彼ら2人と映画サークルのメンバーや下宿先の先輩の「樋口師匠」達が絡まってあるトラブルがおきますが…、とういところで第一話がすすみます。

第二話以降は、「わたし」は映画サークルには入らず、実は別の大学生活をおくっていたという設定ですが、その後どういう結末になるでしょうか…、というお話です。

この小説は内容も面白いですが、何より舞台が下鴨界隈というのが気に入りました。残念ながら当院は出てきませんが…。

また、この作者の作品に「宵山万華鏡」という祇園祭を舞台にした幻想的な短編集があります。全く別の小説なのですが、なぜか「四畳半神話体系」と微妙に繋がっていたりして楽しめます。同作者作で今アニメでやっている「有頂天家族」というかわいい狸の話も京都が舞台となっています。よかったら観てみて下さい。

とりとめのない紹介でしたが、ご容赦ください。