京都民医連第二中央病院広報誌 2012年10月発行 vol. 18

シリーズ おススメの一冊

生命の不思議

著者 柳澤 桂子
出版社 集英社

おススメのDVDと言うタイトルで原稿依頼を頂戴したが、あいにく私はお勧めできるDVDを持っていない。

代わりにご存じの方も多いと思うが“おススメの一冊”として柳澤 桂子著「生命の不思議」をご紹介したい。

此はコロンビア大学院を修了、三井化成生命科学研究所の研究員として先天性異常の研究をしていた著者が突然の病に倒れ、診断がつかぬまま30年間ベッド上の生活を送り、その長期間の闘病生活の中で見えてきた“生命”を書き綴った一冊である。30年間どの大病院でも診断がつかなかった病気をある開業医のたった1回の往診で処方された薬により劇的に 病状は劇的に改善し、歩けるようになるまで回復する。

 短歌も詠む著者の、ベッドから観た情景の緻密な描写は鮮明に浮かび上がり、闘病中一度は尊厳死をも考えた著者の生命への想いに深く考えさせられる。