京都民医連第二中央病院広報誌 2013年4月発行 vol.19

シリーズ おすすめの一冊

初学者を恫喝し、欺瞞に満ちた、凡庸で陳腐で怠惰な、捏造された、あてがいぶちの物語を、あたかも大切なかけがえのない物語のように。

中学高校の時、寮生活をしていた。12歳で親元を離れて暮らすのはちょっと寂しい。テレビは寮のロビーにあるだけで、娯楽の基本はラジオ放送だった。KBC九州朝日放送がお気に入りで、「PAO~Nぼくらラジオ異星人」や「オールナイトニッポン」をよく聴いた。ラジオ異星人「わけありベストテン」の「広島で駅弁を食ったときについてきたお茶はカブトムシの味がしたっちぇの歌」は今でも歌える。あと「八女茶のチャチャチャ」や「馬場が泣いた」も。オールナイトニッポンの月曜一部は中島みゆきだった。その中島みゆきの著書、「伝われ、愛―月曜のスタジオから」をお勧めします。1984年2月の発行なので、もう絶版ですけど。そのあとがきです。

昨日・今日・明日
所詮、人はひとりなのだと、
心傷ついて、そう思う日が、誰にだってあるだろう。
そんなときに、今の瞬間も、誰かがどこかで、やっぱり頑張っているのだと、
そんな気配を感じることができたなら。
どれほど、人は励まされることだろう。
呼吸している生き物が、宇宙に自分一人しか残っていないような寂しさが、
両肩に、のしかかる、そんな真夜中
どこかで誰かが呼吸していることを、聞くことができたなら、
どれほど、心細さは、和らげられることだろう。
自分の荷物は、どうせ誰も、負ってはくれないけれど、
もしかしたら、
生きているということも、捨てたものではないかもしれない。
そんな誰かから、そんな誰かへ。
海を超え。
町を超え。
寂しさを超え。
怒りを超え。
伝われ、愛。

中島みゆきの放送は、寮の消灯時間の3時間後に始まるので寝てしまうことも多かった。なんとか聴けた日は、次の日の授業は聞けなかった。思い出すと、そんな真夜中の、寮の空気がよみがえってくる。

そういえば4月には村上春樹の新作もでるらしいよ♪