京都民医連第二中央病院広報誌 2010年11月発行 vol. 15

「京野菜」 Gorou Ishikawa

激動、混迷、停滞、模索の時代―「お互いさま」の復権で新しい道を―

門院長京都民医連
第二中央病院
院長 門 祐輔

 激動の時代。世界同時不況、アメリカの凋落、中国をはじめとする新興国の台頭。エネルギー・資源・食料は先進国と途上国間で大きな問題になっている。世界全体が新しい枠組みを求めて模索している。
  ひるがえって日本はどうだろう。10年間で首相が7人交代。政権交代したものの、普天間基地移設で右往左往しアメリカ追随に戻ってしまった。政局ばかりでめざす方向がはっきりせず、混迷、停滞状況を抜け出せない。こんな時こそ新しい道を模索すべきだと思う。
  否定されたのは、ひとをモノ扱いし、格差を拡大し、地域をズタズタにした「構造改革路線」。新しい道は、格差を縮小し、社会保障の充実で将来不安をなくし、安心して地域で生活ができるようにすること。あらためて「お互いさま」の復権が求められる。
  金のあるものは金を、力のあるものは力を、知恵のあるものは知恵を、それがお互いさまの発想。そうして共同体は成り立ってきた。これからさらに進む高齢化、お互いさまで支え合うことが必要だし、そのことが子育てにもいい環境をつくり、持続可能な社会になるはず。必要な財源も、この発想で考えれば消費税だけでないことは明らかだろう。
  本院の医療・介護活動も、地域住民、開業医、病院、介護事業所などとの共同作業で成り立っている。お互いさまの発想で、もっとも困難な人たちの立場を守ることのできる地域づくりに、積極的に取り組んでいきたい。