京都民医連第二中央病院広報誌 2009年11月発行 vol. 13
シリーズ:おススメDVD
大宅診療所 所長 藤本 眞次
遠い空の向こうに
原題
October Sky
監督:ジョー・ジョンストン
10年も前の作品であまり知られていない映画ですが、私の好きな作品の一つです。炭坑を舞台にした映画には秀作が多く、「炭坑ものにハズレなし。」が私の持論です。『リトル・ダンサー』『ブラス』『わが谷は緑なりき』『フラガール』などもおすすめです。
この作品もアメリカ東部ウェスト・バージニア州の炭坑町が舞台で実話を 元に作られています。炭坑ものの特徴 は頑固親爺の存在ですが、本作ではクリス・クーパーが炭坑の現場監督として存在感を発揮しています。主人公はその息子ホーマーで、ソビエト連邦の史上初の人工衛星スプートニクの打ち上げ成功に触発されて、ロケット製作に夢中になる高校生役をジェイク・ギレンホールが好演しています。監督は『ジュマンジ』『ジュラシックパークⅢ』などの作品を手がけているジョー・ジョンストン監督です。
物語は1957年10月、人類初の人工衛星スプートニクの打ち上げ成功を伝えるニュースで始まります。原題のOctober Skyは、 ニュースの中でスプートニクがアメリカの10月の空に観察できることを伝える中で使用されています。因みに、スペルを並べ替える とRocket Boysになります。炭坑町の高校生ホーマーは、人気の的であったアメリカン・フットボールでは非力で落ちこぼれでした。夜空を高速で飛行する人工衛星スプートニクの姿に魅了されたホーマーは、友人たちと4人で自己製作のロケットを打ち上げようと試行錯誤を繰り返します。町には応援してくれる大人や教師も居るが、父親は頑なにこれを許そうとしません。地下の坑道で炭坑夫のエキスパートとして働く父と正反対の宇宙を目指す息子は衝突を繰り返しながら展開していきます。ロケット製作には様々な難題や挫折、事件が待ち受けていますが、ホーマーたちの夢に向かってまっすぐに挑戦し続ける姿は青空に勢いよく上昇し続けるロケットのように魅力的で、青春時代の熱い思いや宇宙へのロマンを呼び覚ましてくれます。